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竹の子採り

竹の子採り
竹は中国渡来のものが多い

松野町夫 (翻訳家)

まもなく春の風物詩、竹の子採りが始まる。竹の子といえば、私はまず、モウソウチクを連想する。モウソウチクは「モウソウダケ」ともいうが、私の故郷、鹿児島ではふつう「モソダケ」と短縮して呼ぶ。モソダケの竹の子は、掘り出すのもわりと簡単で、美味で、しかも太いので量も多く、1個でほぼ家族全員にゆきわたる。

モウソウチクの名前の由来:
孟宗(もうそう、? - 271年)は中国三国時代の呉の人。歴代中国王朝は、儒教の考えを重んじ親孝行を特に重要な徳目とした。孟宗は孝行が特に優れた人物24人の一人に選ばれている。
孟宗が真冬、母のためにタケノコをさがし求め、竹林に入って哀嘆したところ、タケノコが生えてきたため母に食べさせる事ができたという。これがモウソウチク(孟宗竹)の名前の由来とされる。

百科事典によると、モウソウチクは、イネ科のタケ類のうち、日本一大きくなる種類で、大きなものは稈(かん)の直径20 cm、高さ20 mにもなるという。モウソウチクは中国原産で、日本への渡来は、1728年(京都、長岡京市)と1736年(鹿児島市郊外)など諸説あるが、全国へ広まったのは薩摩藩による琉球王国経由の移入によると考えられている。

竹はイネ科の多年生植物。ただし、独立のタケ科とする場合もある。東南アジアを中心に、世界に約600種、日本には500種あるという。なかでも、モウソウチク(孟宗竹)、マダケ(真竹)、ハチク(淡竹)はほぼ全国的に栽培され、用途が広く、三大竹とされている。

マダケ(真竹)は中国原産とも日本自生ともいわれるが、鹿児島ではマダケをカラタケ(唐竹)ともいうので、少なくとも鹿児島のマダケは、中国から渡来した可能性が高い。ハチク(淡竹)は中国原産。別名クレタケ(呉竹)。これも中国渡来の竹である。

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【竹の子の外観見の違い】 写真は以下のフウランさんのブログから引用した。
http://blog.goo.ne.jp/manpou336/e/50316c04259e56769f2d3cb64acec176

竹の子の収穫時期は種類により異なる。『旬の食材百科』によると、孟宗竹は3月から5月上旬、淡竹は4月中旬から5月下旬、真竹は5月から6月上旬というように。また地域によっても異なる。3年ほど前に、親友の所有する鹿児島市谷山の山林に親友と一緒に、4月初めに孟宗竹の竹の子採りに出かけたが、竹の子泥棒にすべて掘りつくされていて、収穫ゼロだった。この体験から、鹿児島では孟宗竹は3月と見たほうが安全確実である。
by LanguageSquare | 2016-02-25 11:15 | エッセー | Comments(0)