関係詞の用法
制限用法と非制限用法との相違点

松野町夫 (翻訳家)

関係代名詞(who, which, that)や、関係副詞(where, when, why, how)などをまとめて関係詞とよぶ。関係詞は一般に、名詞(=先行詞)の直後に置かれ、その名詞を修飾する節(=関係節)を作る。

たとえば、the boy who broke the window 「窓ガラスを割った少年」の場合、
boy が先行詞で、who が関係代名詞、who broke the window が関係節である。
単に「少年」だけでは誰のことを指しているのかわからないが、「窓ガラスを割った」という修飾語(関係節)を付けることで、その少年を限定できる。このように関係節は、先行詞を限定または特定する働きがあり、こうした用法を制限用法と呼ぶ。

He is the boy who broke the window. 〔制限用法〕
彼が窓ガラスを割った少年です。

これに対して以下の例文では、先行詞と関係詞との間にコンマが挿入されたことにより、関係節はもはや先行詞を限定しておらず、単に補足的な説明を加えているにすぎない。このように関係節が先行詞を限定しない用法を「非制限用法」と呼ぶ。

I went to see the doctor, who told me to rest for a few days. 〔非制限用法〕
= I went to see the doctor, and he told me to rest for a few days.
医者に行ってみてもらったところ、数日間休息するように言われた。

以下のふたつの例文では、daughter が先行詞で、who が関係代名詞である。前者は先行詞と関係詞との間にコンマがないので制限用法、後者はコンマがあるので非制限用法となる。非制限用法のコンマは、通例 and の意になるが、文脈により but, because, though, if などの意になることもある。

They have a daughter who is married to an American. 〔制限用法〕
彼らにはアメリカ人と結婚している娘が一人いる。
They have a daughter, who is married to an American. 〔非制限用法〕
= They have a daughter, and she is married to an American.
彼らには娘が一人いて、その娘はアメリカ人と結婚している。

制限用法と非制限用法との違いは、単にコンマの有無にすぎない。しかし意味は微妙に異なる。制限用法では、娘の意味(範囲)を「アメリカ人と結婚している」と制限した上で、そのような娘が一人いると述べている(つまり彼らには複数の娘がいる可能性がある)。これに対して非制限用法では、娘が一人いることを述べた上で、追加情報として、その娘がアメリカ人と結婚していることを付け加えている(彼らには娘は一人しかいない)。

制限用法の who は that に書き換え可能だが, 非制限用法では that は使えない。同様に、制限用法の which は that に書き換え可能だが, 非制限用法では that は使えない。

They only employ people who already have computer skills. 〔制限用法〕
= They only employ people that already have computer skills. 〔制限用法〕
その会社はコンピューターを使える人だけを雇っています。
Ron, who usually doesn't drink alcohol, had two beers. 〔非制限用法〕
ロンは通常酒をやらないが、(その日は)ビールを2杯飲んだ。
(Ron, that usually ... はダメ。非制限用法では that は使えない)

非制限用法の which は、事物(名詞)だけではなく、先行する文全体を指すこともある。たとえば、
He said he saw me there, which was a lie. 〔非制限用法〕
彼はそこで私を見たと言ったが、それはうそでした。

一般に制限用法か、非制限用法かは、文脈や先行詞との関係で決まる場合が多い。先行詞がすでに特定されていれば非制限用法、そうでなければ制限用法(または非制限用法)にする。
固有名詞は特定の人や物の名前を表すので特定されている場合が多い。先行詞が特定されていれば、わざわざその意味を制限したり限定したりする必要がない。つまり、先行詞が固有名詞で特定されている場合、コンマを付けて非制限用法にする必要がある。

I visited the Tokyo Tower, which was constructed in 1958. 〔非制限用法〕
私は東京タワーを訪れたが、これは1958年に建設された。

上記の英文からコンマを削除して、I visited the Tokyo Tower which was constructed in 1958. のような制限用法にすると、「私は、1958年に建設された東京タワーを訪れた」となり、東京タワーが複数存在するような印象を与える。しかし実際には東京タワーは世界にひとつしかなく、特定されているので非制限用法にする必要がある。ただし、普通名詞の「タワー」であれば、文脈に応じて制限用法にも非制限用法にも、どちらにでもすることができる。

I visited the tower which was constructed in 1958. 〔制限用法〕
私は、1958年に建設されたタワーを訪れた。
I visited the tower, which was constructed in 1958. 〔非制限用法〕
私はそのタワーを訪れたが、それは1958年に建設されたものであった。

関係副詞(where, when)についても同様だ。「パリ」は固有名詞なので非制限用法となるが、「都市」は普通名詞なので制限用法(または非制限用法)とする。ちなみに、why, how には非制限用法はない。

This is Paris, where we lived for six years. 〔非制限用法〕
ここはパリで、私たちはここに6年間暮らしました。
This is the city where we lived for six years. 〔制限用法〕
ここが私たちが 6年間暮らした都市です。

Wait till night, when he will be back. 〔非制限用法〕
夜まで待ちなさい、その時分には彼も帰ってきますから。
He killed himself on the night when he heard the news. 〔制限用法〕
彼はそのニュースを聞いた夜、自殺した。

For years, a joke among Trump Tower employees was that the boss was like Manhattan’s First Avenue, where the traffic goes only one way. 〔非制限用法〕
この数年間、トランプタワーの従業員たちの間でささやかれているジョークに、ボスはマンハッタンの一番街と同じだというのがある。一番街も一方通行だからである。
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# by LanguageSquare | 2018-04-28 10:25 | 関係詞 | Comments(0)
関係副詞
関係副詞には where, when, why, how がある

松野町夫 (翻訳家)

関係副詞は、関係代名詞と同様に、名詞(=先行詞)の後に置かれ、その名詞を修飾する節(=関係節)を作る。たとえば、the house where I live 「私が住んでいる家」の場合、house が先行詞で、where が関係副詞、where I live が関係節である。

関係副詞には where, when, why, how の 4 種類がある。先行詞が場所の場合は where, 日時の場合は when, 理由の場合は why, 方法の場合は how というように使い分ける。本来、where は「どこに」、when は「いつ」、why は「なぜ」、how 「どのように」を意味する疑問副詞だが、これらの単語がいったん関係副詞として使われると、もとの意味は消失し、まったく異なる用法や機能を持つようになる。

関係副詞を含む構文は「先行詞」+「関係節」という語順となる。関係節は関係詞で始まる。以下の例文の下線部は関係節(relative clause)を表す。関係副詞は(前置詞+which)に置き換えることができる。

where (= in which, to which) 先行詞が場所の場合

This is the house where I live. ここが私の住んでいる家です。
= This is the house in which I live.
That is the country where I went last year. そこが私が去年行った国です。
= That is the country to which I went last year.
This is the place where the accident happened. ここが事故が起きた現場です。
Is there a shop near here where I can buy postcards? この辺に葉書を買える店がありますか。

when (= in which, at which, on which) 先行詞が日時の場合

1950 is the year when I was born. 1950年は私の生れた年です。
= 1950 is the year in which I was born.
It was a time when motorcars were rare. その頃は自動車の珍しい時代だった。
Sunday is the only day when I can relax. 日曜日は私がリラックスできる唯一の日です。
The time will come when you will regret it. これは後で後悔することになりますよ。

why (= for which) 先行詞が理由(reason)の場合

This is the reason why I am leaving. 私が辞めるのはそういうわけです。
= This is the reason for which I am leaving.
The reason why he came so early is unknown. 彼がそんなに早く来た理由は不明です。
Let me tell you the reason why I disagree. 私が反対する理由を言わせてください。
Tell me the reason why you are quitting your job. 仕事をやめる理由を話してください。

how (= the way in which)  先行詞が方法の場合(ただし how は先行詞を含む)
the way + how … となることは現在ではまれで、how か the way のどちらか 1 つでよい。

That is how they do business. それが彼らのビジネスのやり方だ。
= That is the way they do business.
= That is the way in which they do business.
Be careful how you act. 立ち居振る舞いに気をつけなさい。
Just tell me how the story ends. ストリーはどのように終わるのか教えてくれ。
We asked how we could help. 私たちはどのような形でお手伝いできるのか尋ねた。
Do you have any idea how he broke his leg? 彼がどのように骨折したのか知っていますか。
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# by LanguageSquare | 2018-04-06 11:19 | 関係詞 | Comments(0)
関係代名詞
関係代名詞には who,which,that がある

松野町夫 (翻訳家)

関係代名詞は一般に、名詞(=先行詞)の直後に置かれ、その名詞を修飾する節(=関係節)を作る。たとえば、the boy who broke the window 「窓ガラスを割った少年」の場合、boy が先行詞で、who が関係代名詞、who broke the window が関係節である。先行詞(boy)と関係代名詞(who)は等しい。 boy = who. つまり関係代名詞は、先行詞のいわば分身である。

関係代名詞を含む構文は「先行詞」+「関係節」という語順となる。関係節は一般に、関係代名詞や関係副詞で始まる。英米風に定義すると、関係代名詞は名詞句と関係節を連結する(Relative pronouns link noun phrases to a relative clause.)ものである。

関係代名詞には who,which,that がある。先行詞が人の場合は who, 物の場合は which, 人や物の場合は that というように使い分ける必要がある。本来、who は「だれ」、which は「どちら」を意味する疑問代名詞で、that は「あれ」を意味する指示代名詞だが、これらの単語がいったん関係代名詞として使われると、もとの意味は消失し、まったく異なる用法や機能を持つようになる。

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以下の例文の下線部はすべて関係節(relative clause)を表す。

who: (who – whose – whom) 先行詞が人の場合
He is the boy who broke the window. 彼が窓ガラスを割った少年です。
He held a small child whose face I couldn't see.
彼は小さな子供を抱えていたが、その子の顔は私には見えなかった。
I don't like to speak ill of someone whom [or who] you are close to.
あなたが親しくしている人を悪く言いたくありません。

which: (which – whose / of which – which) 先行詞が物の場合
Books which sell well are not necessarily good. よく売れる本がいい本とは限らない。
He looked for a car whose engine was running. 彼はエンジンがかかったままの車を探した。
Novels whose authors are famous sell readily. 有名な作家の小説はよく売れる。
Novels of which the authors are famous sell readily. 有名な作家の小説はよく売れる。
The keys which I lost last month have been found. 先月なくした鍵が見つかった。

that: (that – that) 先行詞が人や物の場合、先行詞が人と物の両者を表わす場合
That is all that matters. それが一番大事なことだ。
They cut the tree that blocked the view. 彼らは眺めをさえぎっていた木を切った。
He is the man that lives next door to us. 彼は私たちの隣に住んでいる人です。
He has written about the people and things that interest him.
彼は自分がおもしろいと思う人々と事柄とについて書いた。

その他の関係代名詞

関係代名詞には、what, whatever, whoever, whichever などもある。これらはwhich, who, that とは異なり, 意味上先行詞を含む関係代名詞である。

what (= the thing that, things that)

What I say is true. 私の言うことは本当です。
Do what you're told. 言われた通りにしなさい。
This is what he says. これが彼の言っていることです。
What he did was wrong. 彼のしたことは間違っていた。
What John bought yesterday is a car. ジョンが昨日買ったのは車です。
She pointed to what looked like a bird. 彼女は鳥のように見えるものを指さした。
He always does what he believes is right. 彼はいつも正しいと信じることをする。

whatever (= anything that)

Do whatever you like. 何でも好きな事をしなさい
= Do anything you like.
You may do whatever you like. 何でも好きなことをしてよい。
Take whatever you need. 必要なもの何でも持って行きなさい。
Whatever happens, I will do it. 何が起こってもそれをやるつもりです。
Whatever you say is all right with me. どんなことをおっしゃっても私は構いません。
Tom will do whatever she asks him. 彼女に頼まれたらトムは何でもやるでしょう。
Say whatever you want, my opinion won't change.
何でも好きなように言いなさい、でも、ぼくの考えは変わらないよ。

whoever (= anyone who, any people who)

Whoever comes is welcome. 来る人は誰でも歓迎します。
We'll welcome whoever comes. 来る人は誰でも歓迎します。
Ask whoever is there. 誰でもいいからそこにいる人に尋ねなさい。
I won't do it, whoever asks. 誰から頼まれてもそんなことはしません。
A prize will be given to whoever solves the riddle.
このなぞを解いた人は誰でもほうびがもらえます。

whichever (= any one that)

Take whichever you like. どれでも好きなのを取りなさい。
Buy whichever you like. どちらでも好きなのを買いなさい。
Whichever they choose, we must accept their decision.
彼らがどちらを選んでも、私たちは彼らの決定を受け入れなければなりません。
Come on Monday or Tuesday, whichever is most convenient.
月曜日か火曜日、どちらか一番都合のいい日に来てください。
You can leave at 4:00 or when you've finished the job, whichever comes first.
4時またはあなたがこの仕事を終えたとき、どちらか早い時間に、退社してかまいません。
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# by LanguageSquare | 2018-03-21 11:38 | 関係詞 | Comments(0)
関係詞 
関係詞は文章の形で物事を修飾するときに使う

松野町夫 (翻訳家)

関係代名詞や関係副詞、関係形容詞を総称して関係詞(relative)と言う。日本語に関係詞はないので、関係詞は私たちにとって理解するのがむずかしい。しかし、関係詞は文章の形で物事を修飾するときに使うものだと考えるとわかりやすい。たとえば、

私はきのうコンビニで弁当を買った。
I bought a box lunch at a convenience store yesterday.

この基本文から、「私」「きのう」「コンビニ」「弁当」を修飾する節を取り出すと、以下のようになる。

きのうコンビニで弁当を買った私
「きのうコンビニで弁当を買った」が修飾語で、被修飾語の「私」にかかる(以下同様)。
I, who bought a box lunch at a convenience store yesterday

私がコンビニで弁当を買ったきのう
yesterday, when I bought a box lunch at a convenience store

私がきのう弁当を買ったコンビニ
the convenience store where I bought a box lunch yesterday

私がきのうコンビニで買った弁当
the box lunch which I bought at a convenience store yesterday
= the box lunch that I bought at a convenience store yesterday

このような文章の形をした修飾語(=形容詞節)の翻訳には、関係代名詞(who, which, that)や関係副詞(when, where)が必要となる。実際、関係詞を使わないかぎり翻訳できない。

先行詞、関係詞、関係節
日本語では修飾語は常に被修飾語の前に来るが、英語では名詞(または代名詞)が先行し、その直後に関係詞がくる。そこで、先行する名詞を先行詞(Antecedent)と呼び、また、関係詞で始まる節を関係詞節または単に関係節(relative clause)と呼ぶ。

節とは何か?
節 (clause) とは、2語以上の語が集まってひとつの品詞の働きをするもので、S + V の形式を持つものをいう。関係節は先行詞(名詞)を修飾する。つまり形容詞の働きをするので形容詞節となる。

A nurse is a person who is trained to take care of sick or injured people.
看護師とは病人や怪我人を世話する教育を受けた人のことである。
この例文では、person が先行詞(=被修飾語)で、who が関係代名詞、who is trained to take care of sick or injured people が関係節(=形容詞節)となる。

A nurse is someone whose job is to take care of sick or injured people.
看護師とは仕事として病人や怪我人を世話する人のことである。
この場合、someone が先行詞(=被修飾語)で、whose が関係代名詞、whose job is to take care of sick or injured people が関係節(=形容詞節)となる。
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# by LanguageSquare | 2018-02-21 17:05 | 関係詞 | Comments(0)
アスペクトとは何か
英語には、完了と進行の2つのアスペクトがある

松野町夫 (翻訳家)

英語のアスペクト aspect [ǽspekt] は、ラテン語 aspectus 「見ること」「見えるもの」に由来し、日本語の「外観(姿)」「見方」「面」「側面」に相当する。たとえば、

a mountain with a beautiful aspect 姿の美しい山
There are many aspects to the problem. その問題にはいろいろな見方がある。
Mental stress affects all aspects of life. 精神的ストレスは生活の全ての面に影響を与える。
I want to approach the problem from a different aspect. 別の側面からこの問題に取り組みたい。

ここでは、英文法の用語、時制(テンス)と相(アスペクト)のうち、アスペクトを仔細に検討する。

英語の動詞は語形変化する。たとえば、go - went - gone - going のように、現在・過去・過去分詞・現在分詞と 4通りに変化する。最初の 2つ、現在・過去(go - went)は時制を表し、残りの 2つ、過去分詞(gone)と現在分詞(going)はアスペクトを表す。

時制は動作の起きた時(現在・過去)を表す。これに対して、アスペクトは動作が完了しているのか、進行中なのかなど、動作の様態(様子や状態)を表す。過去分詞(gone)は、have を伴って動作の完了を表し、現在分詞(going)は、be を伴って動作の進行を表す。英語には、完了と進行の2つのアスペクトがある(English has two aspects: perfect and progressive)。

時制(現在・過去)とアスペクト(完了・進行)を組み合わせると、以下のように 8 種類の構文ができる。

現在単純形 → He goes to school every day. 彼は毎日学校へ行く。
過去単純形 → He went to school yesterday. 彼は昨日学校へ行った。
現在完了形 → He has gone to school. 彼は学校へ行った(今、ここにはいない)。
過去完了形 → He had gone to school. 彼は学校へ行った(その時、そこにはいなかった)。
現在進行形 → He is going to school. 彼は(今)学校へ行く途中だ。
過去進行形 → He was going to school.  彼は(その時)学校へ行く途中だった。
現在完了進行形 → I have been running. (さっきまで)走っていた(今、息切れしている)。
過去完了進行形 → I had been running. (その時まで)走っていた(その時、息切れしていた)。

単純形は時制があるのみでアスペクトはない。完了形は完了している動作を表し、進行形は進行中の動作(=まだ完了していない動作)を表す。完了進行形は完了している動作または継続中の動作のいずれかを表す。

完了形には現在完了と過去完了の 2種類がある。

現在完了はhave/has+過去分詞の形で、過去の動作と今の状況を表す。現在完了は過去形と現在形の2つの文に置き換えることができる。

He has gone out. 彼は外出している。(いま彼はここにいない)
= He went out and he is not here now.

I have lost my watch. 時計をなくした。(まだ見つかっていない)
= I lost my watch and I can't find it yet.

過去完了は had + 過去分詞の形で、過去の動作と過去(その時)の状況を表す。過去完了は 2つの過去形の文に置き換えることができる。

He had gone out. 彼は外出していた。(その時彼はそこにいなかった)
= He went out and he was not there then.

I had lost my watch. 時計をなくしていた。(その時まだ見つかっていなかった)
= I lost my watch and I couldn’t find it then.

進行形には現在進行形と過去進行形の 2種類がある。進行形は動作動詞(go, run)が対象となる。状態動詞(know, want)は進行形にしない。 I know her. (I am knowing her. はダメ)

現在進行形は be 動詞+現在分詞(動詞の -ing)の形で、現在進行中の動作を表す。

He is going to school. 彼は(今)学校へ行く途中だ。
= He is in the middle of going to school.

過去進行形は be 動詞+現在分詞(動詞の -ing)の形で、過去に進行中だった動作を表す。

He was going to school. 彼は(その時)学校へ行く途中だった。
= He was in the middle of going to school.

完了進行形には現在完了進行形と過去完了進行形の 2種類がある。完了進行形は動作動詞(go, rain)が対象となる。状態動詞(know, want)は完了進行形にしない。

現在完了進行形はhave/has been + 現在分詞の形で、完了している動作または継続中の動作のいずれかを表す。どちらを表しているかは文脈による。たとえば、

Is it raining?  いま雨は降っていますか?
No, but the ground is wet. It has been raining.
いいえ、でも地面がぬれています。雨はさっきまで降っていました。(完了している動作)

Is it raining? いま雨は降っていますか?
Yes. It has been raining since yesterday. はい、きのうからずっと降っています。(継続中)

過去完了進行形はhad been + 現在分詞の形で、完了していた動作または継続中だった動作のいずれかを表す。どちらを表しているかは文脈による。たとえば、

Was it raining then? その時雨は降っていましたか?
No, but the ground was wet. It had been raining.
いいえ、でも地面がぬれていました。雨はその少し前まで降っていました。(完了していた動作)

Was it raining then? その時雨は降っていましたか?
Yes. It had been raining since the day before. はい、前日からずっと降っていました。(継続中)

時制(テンス)と相(アスペクト):
安藤貞雄著『現代英文法講義』や “Cambridge Grammar of English” Carter & McCarthy, 2005 では、英語には、2つの時制(現在・過去)と2つのアスペクト(完了・進行)があるとする。ただし、学校文法では will + 動詞の原形を未来時制と認め、時制には現在・過去・未来があるとする。同様に、綿貫陽著 『ロイヤル英文法』でも、時制には、現在・過去・未来の3つの基本時制のほかに、それぞれ完了形と進行形と完了進行形があるとし、単純未来のみを未来時制として認めている。
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# by LanguageSquare | 2018-01-30 09:45 | 時制 | Comments(0)
軽動詞とは何か
軽動詞の魅力は、そのわかりやすさと表現力の豊かさにある

松野町夫 (翻訳家)

軽動詞とは意味の軽い動詞を意味し、たとえば、have a walk(散歩する)、take a drive(ドライブする)、give a smile(微笑する)、make a visit(訪問する)における have, take, give, make を指す。軽動詞(light verb)という概念は、デンマークの英語学者・言語学者、オットー・イェスペルセン Otto Jespersen(1860‐1943)による。

軽動詞は目的語に通例、a+動作名詞をとる。動作名詞は動詞と同形または類似の名詞となる。軽動詞の構文では、軽動詞は単に「する」という軽い意味を示すのみで、目的語のa+動作名詞(a walk, a drive, a smile, a visit)がより重要な情報を表わす。

軽動詞の構文は、SVO の文型をとる。軽動詞構文(light verb construction)は、動作名詞の動詞を使って、SV の文型に書き換えることができる。たとえば、

I have a walk. 私は散歩する。 → SVO 
= I walk. 私は歩く; 歩いていく; 散歩する。 → SV

同様に、take a drive (drive), give a smile (smile), make a visit (visit) というように、動詞一語で書き換えることができる。書き換えても意味は基本的に変わらないが、同じ意味の動詞より、a+動作名詞のほうが1 回だけの行為であることが強調されるので、微妙なニュアンスの違いはある。

軽動詞(light verb)の反対語は、実動詞(full verb)である。軽動詞がその動作の意味を動作名詞にゆだねるのに対して、実動詞はその動作の意味を自ら示す。動詞は一般にほとんど実動詞だが、have, take, give, make は、軽動詞になる場合と実動詞になる場合がある。たとえば、

I have a walk. 私は散歩する。 → 軽動詞
I have a pen.  私はペンを持っている。 → 実動詞

I took a drive. 私はドライブした。 → 軽動詞
I took a pen.  私はペンを取った。 → 実動詞

軽動詞と実動詞の区別は、目的語が決め手となる。目的語が動作名詞であれば軽動詞、そうでなければ実動詞。 a walk や a driveは動作名詞であるが、a pen は物品であり、動作を表す名詞ではない。

軽動詞の魅力は、そのわかりやすさと表現力の豊かさにある。動詞を名詞化したことによって、その動作を単体として取り出し、形容詞をつけることが可能となり、これにより英語の表現力は洗練され、格段に進化した。

「入浴する」 take a bath (= bathe) のような単純な表現では軽動詞のありがたみを実感できないが、「熱い風呂に長く入る」というような少し複雑な表現になると、実動詞の bathe を使うより、軽動詞の take a bath のほうがはるかに簡潔に表現できる。たとえば、

朝風呂に入るのが好きだ。
I like to take a bath in the morning. → 軽動詞
I like to bathe in the morning. → 実動詞

熱い風呂に長く入るのが好きだ。
I like to take a long hot bath. → 軽動詞
I like to bathe long in a hot bath. → 実動詞

take / have:

「入浴する」は、米語では take a bath (= bathe) だが、英国では have a bath (= bath) と言う場合が多い。同様に、「シャワーを浴びる」「散歩する」などについても米語では take a shower (= shower), take a walk (= walk) だが、英国では have a shower, have a walk となる傾向がある。

走った後で彼女はシャワーを浴びた。
She took / had a shower after her run. → 軽動詞
She showered after her run. → 実動詞

夕食のあと浜辺を散歩した。
We took / had a walk along the beach after dinner. → 軽動詞
We walked along the beach after dinner. → 実動詞

Did you have a good sleep? よく眠れましたか?
Let's take a walk on the beach after dinner. 夕食のあと浜辺を散歩しよう。
We need to have a good long talk. 私たちは、じっくりとよく話し合う必要がある。
I was taking a bath when the phone rang. 入浴していたら電話がなった。

give:

彼は冷笑した(あざ笑った)。
He gave a cynical smile. → 軽動詞
He smiled cynically. → 実動詞

Give me a call tomorrow. 明日、電話してください。
Come on, give Grandpa a hug. おいで、おじいちゃんをハグして。
He gave a loud cry and fell to the floor. 彼は大きく叫んで床に倒れた。
We should give the dog a bath this weekend. 週末には犬を洗ってあげたほうがいい。
She looked up from her work and gave a little yawn. 彼女は仕事から目を上げ、小さなあくびをした。

make:

彼らは早めに出発した。
They made an early start. → 軽動詞
They started early. → 実動詞

上司に電話をしなければなりません。
I have to make a (telephone) call to my boss. → 軽動詞
I have to call / telephone my boss. → 実動詞

I made a mistake in the last math problem. 数学の最後の問題を間違えた。
We made a long detour to avoid the busy traffic. 私たちは交通の混雑を避けて遠回りをした。
Can I use your cell phone to make a call? 電話したいのだけど、ケータイ貸してくれない?
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# by LanguageSquare | 2017-12-21 11:01 | 動詞 | Comments(0)
さいころ物語
さいころの目は制御できるか

松野町夫 (翻訳家)

さいころは主に室内のゲームやギャンブルに用いる小道具。形状は一般に立方体(正六面体)で、各面に 1~6 個の小さな点が記され、1 の裏が 6、2 の裏が 5 というように、両面の和はいずれも 7 になる。日本には奈良時代に中国から伝来した。賽(さい)ともいう。

私たちは日常、0~9 の10個の数字を用いる。しかし、普通のさいころは数の範囲が 1~6 に限定されているので十進法には不向きである。とくに乱数を得たい場合、20面体ダイスを使用するのが一般的だ。私は20面体ダイスを 2個(赤色と黄色)持っている。20面体ダイスは、各面は正三角形で、0~9 の数字が記され、全体として同じ数字がふたつ存在する。ただし乱数は現代では、コンピュータで発生させる場合が多い。

さいころには 1面体から 144面体までいろいろな形状がある。
1面体ダイスは、転がしても 1 しか出ない。数学ではこれを「メビウスの帯」(Möbius strip)と呼ぶ。帯を一回(180°)ひねって、両端を貼り合わせて作ったもので、表と裏の区別がない。2面体ダイスは二者択一には最適だ。100面体ダイスや144面体ダイスは、ゴルフボールに近い。
1面体から 144面体までのさいころの画像については、以下のサイトを参照してください。
http://oreore.red/polyhedron-dice-1-100

さいころは神事、占い、遊び、賭博、念力の検証、奇術、曲芸、乱数の発生などの用途に用いる。さいころは小さいので持ち運びに便利で、また、どこか知的な雰囲気があり、人を夢中にさせる不思議な魅力がある。

双六(すごろく)遊びに、さいころは欠かせない。子供の頃、兄弟姉妹たちと一緒によく遊んだ。双六には「振り出し」から「上がり」まで数十個のステップがあり、基本的に、さいころを振って出た目の数だけ前に進めるので、6 を念じながら振るのだが、なかなか思うようにいかない。

『平家物語』の巻一には、白河法皇が「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と嘆いたとある。賀茂河の水を「天災」、双六の賽を「確率」、山法師(比叡山延暦寺の僧兵)を「政治・宗教」と解釈すれば、この「天下三不如意」は、現代でも難題であることに変わりはない。

さいころは念力の研究に使用される。アメリカの心理学者J.B.ライン教授 Joseph Banks Rhine (1895‐1980) は、超常現象のうち、ESP と念力を専門に研究し、数量的測定法を考案して、超心理学の学問的基礎を確立した。ESP(extrasensory perception; 超感覚的知覚)とは、透視、テレパシー、予知の三つをまとめていう。ライン教授はESP 研究にはESPカード(星、十字、波、円、正方形)を用い、念力の研究にはさいころを用いた。

さいころは六面体なので、さいころを転がして 1 の出る確率は1/6 で、6 の出る確率も1/6 である。しかし、たとえば、6 を念じながらさいころを振り、毎回 6 が出れば念力の存在を完璧に証明できるし、そうでなくても、その確率を著しく高めることができたとすれば、念力の存在をそれなりに証明できることになる。ただし、特定の目が出るように鉛などの重りを入れた「いかさま賽」(loaded dice)を使用してはならない。

さいころの目を思いどおりに出すには気力が充実していなければならない。そこで私は若い頃、毎週日曜の早朝に早稲田のヨガ教室に通い気力の鍛錬に励み、午後は念力の修練に努めた。これを半年ほど続けたが、確率を高めるのは至難の業で、残念ながら自分には念力の素質がないことが判明した。

しかし、すべてが無駄骨に終わったわけではない。ヨガの帰途、新宿の将棋道場に立ち寄り将棋を指したが、勝率が以前と比べて格段に向上した。以前ほぼ互角だった相手に 8 割以上の勝率で渡り合うことができるようになっていた。双六のような「運がものをいうゲーム」(a game of chance)の勝率を高めるのは至難の業だが、囲碁・将棋のような実力がものをいうゲームの勝率は気力で高めることができるということを実感した。ありがたいことに、気力はヨガや座禅などを通して誰でも鍛錬することができる。

透視マジック「箱の中のさいころ」や予知マジック「見えないサイコロ」は、私のもっとも得意とする奇術である。また、テーブルに並べた 5 個のさいころを、ダイスカップを左右に振りながら1個ずつカップに取り込み、最後に 5 個のさいころを縦に積み重ねるという曲芸、ダイススタッキング(Dice Stacking)に20代の頃、熱中した。ダイススタッキングのビギナー向け動画について、詳しくは以下のサイトを参照してください。
https://www.youtube.com/watch?v=GAbZ5l46h4I

さいころは英語でdice [dáis] ダイス。可算名詞。アメリカ英語ではさいころは単数形 die で、複数形 dice である。しかし、イギリス英語では dice は単複同形(a dice, two dice)である。

Each player throws one die. (アメリカ英語) 
競技者はそれぞれ、1 個のさいころを振る。
A dice is a small cube which has between one and six spots on its sides.(イギリス英語)
さいころは小さな立方体で、各面に1~6 個の点が記されている。

賽は投げられた。 The die is cast.
これは、Julius Caesar(ジュリアス・シーザー)が紀元前49年1月10日、元老院に背いて軍を率いて南下し、北イタリアのルビコン川を通過する際に言ったとされる言葉で、意味は以下の通り:
Today we cross the Rubicon. There is no going back.
今日、私たちはルビコン川を渡る。もう後戻りはできない。

神はさいころを振らない。 He does not throw dice.
これは、量子力学の確率的要素を嫌ったアインシュタインの言葉である。現代物理学では量子的できごとのレベルは本質的に不確定性がある(不確定性原理)と主張するが、アインシュタインは、宇宙はさいころ(確率や偶然)ではなく、確定的な法則(必然)に支配されているはずだと確信していたようだ。アインシュタインは無神論者である。彼は自然法則こそが神であり、人格のある神はいないと考え、神(God)を "the Old One" と呼んでいた。以下の文言は、Wikiquote “Albert Einstein” から引用した。

Quantum mechanics is certainly imposing. But an inner voice tells me that it is not yet the real thing. The theory says a lot, but does not really bring us any closer to the secret of the "old one." I, at any rate, am convinced that He does not throw dice.
【筆者訳】 量子力学はたしかに印象的だ。しかし、まだ本物ではないと内なる声が私に告げる。量子論は多くのことを述べるが、本当のところ、自然の神秘に私たちをさらに近づけているというわけではない。いずれにせよ、神はさいころを振らないと私は確信している。

さいころを振ってどの目が出るかは予測不能である。この意味で、さいころの目は確率や偶然の産物となる。しかし発想を変えて、さいころの目をニュートン力学(古典力学)における物体の運動と見れば、さいころの目は初期の条件で決まることになる。

人がさいころを握ってテーブルに転がす場合、さいころの状態(立ち位置)、転がす力の強度・速度、落下高度・角度など多数の条件が関係するので、どの目が出るかは現実には予測不能である。しかし条件をできるだけ単純化すれば、さいころの目は制御可能となるはずだ。そこで、一辺13 mm のさいころを、厚み23 mm のタバコの箱にのせ、1 を上に、2 を前にした状態で、静かに落下させたところ、毎回、5 が出ることが判明した。これは、力の強度・速度、落下高度・角度などを設定できる精密な人型ロボットを使えば、さいころの目は制御できることを示している。
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場合とは何か
「~した場合」は、if で表現するのが普通だが、case でも表現できる

松野町夫 (翻訳家)

場合とは何か。場合は、場に合うと書く。「場に合う」は、「その場に出合った時」というのが原義だ。出会うには、少なくとも2つの物事が必要で、「場合」は両者を関連付ける役割がある。たとえば、「雨が降った場合、試合は中止します」では、「(試合の場に)雨が降る」と「試合を中止する」という2つの出来事が「場合」で関連付けられている。

「場」は元来、場所(空間)を表し、「場合」は元来、とき(時間)を表す。カントの言うように、人間は時間と空間という枠組みのなかでしか、物事を認識できないものだとすれば、「場」と「場合」は人間の認識の根幹に係わる重要な語といえる。

ウィクショナリーによると、「場合」は、和語の「ばあい」を漢字表記したもので、ベトナム語や中国語にも同じ意味で定着しているという。実際、エキサイト翻訳で「場合」を中国語(繁体字)に翻訳すると、「情況」と表示される。ちなみに、「場合」を英語に翻訳すると、Case と表示される。つまりこの機械翻訳システムでは、場合=情況、Case ということになる。

場の関連語には、場所、場面、場合、場数(ばかず)、場末(ばすえ)、場違い、場馴れなどがあるが、このうち、「場合」だけは私にとって、昔から気になる用語であった。意味や用法は一応理解しているのに、それでもどこか漠然としたところが残る。このわかりにくさは、ひとつには漢字に由来するのかもしれない。本来、「場」は物事の行われる場所を表し、「場合」は物事の行われるその時(時間)を表す。「場」は場所なのでわかりやすいが、「場合」はどこにも時を示す漢字がない。

「場合」が難解なもうひとつの要因は、意味が複数あることである。国語辞典では、「場合」を「とき」「事情」のふたつの意味に分けるのが一般的だ。ただし、事情は「事の次第」、つまり物事の状態や、そうなった理由、原因、来歴を表し、現状、状況、情況、境遇、局面、事態、実情、真相などを含む。

ば-あい【場合】
(1) あることが起こったとき。おり。とき。occasion; case <用例>雨の~中止。
(2) 事情。事態。circumstances <用例>時と~によっては行く。万一の~。
【日本語大辞典第二版】

ば‐あい【場合】‥アヒ
(1) その場に出合った時。時。おり。時機。「事故の―には」
(2) 局面。境遇。事情。「―によっては」「時と―による」
【広辞苑第四版】

しかし、研究社和英(第5版)中辞典では、「場合」を「事例」「時」「事情」の、みっつに分ける。

ばあい【場合】
(1) 事例 a case
(2) 時 an occasion; a time; a moment
(3) 事情 a situation; circumstances

ジーニアス英和(第5版)辞典では case を次のように定義する(要点のみを抜粋した)。
ちなみに case は基本的に可算名詞である。

case [kéis]
(1) 場合 in this case この場合は
(2) 例 a classic [typical] case 典型的な例
(3) 真相 That is not the case. それは真相ではない。
(4) 事件 a murder case 殺人事件
(5) 訴訟 win (lose) a case. 勝訴(敗訴)する。
(6) 主張 have a good case for ~に対するもっともな言い分がある。
(7) 症例・患者 an emergency case 急患
(8) 対象者 a welfare case 生活保護受給者
(9)〘文法〙格 the possessive case 所有格

「case」と「場合」を比較すると、case は9つの意味があり、そのうち最初の3つが「場合」の意味と一致するが、残りの6つは一致しない。仮に「case」を大きな円で表すと、「場合」は小さな円で、「case」という大円にすっぽり納まっているようなイメージだ。これを和文英訳という観点から表現すると、「場合」は「case」ですべて表現できることを意味する。少なくとも理論的には。ただし、現実の翻訳の現場では、「場合」を常に case で表すわけではなく、自然な英文を得るために、別の単語を使用することも、あるいは「場合」を訳出しない(削除する)ことも多い。

「~した場合」は、if で表現するのが普通だが、case でも表現できる。

雨が降った場合、試合は中止します。
If it rains, the game will be canceled.
= In case of rain, the game will be canceled.
= In case it rains, the game will be canceled.(米語)

in case には2つの異なる用法(意味)がある。 if に置換できるかどうかが判別の決め手となる。

1. Take an umbrella in case it rains. 雨が降るといけないから傘をお持ちなさい。
= Take an umbrella because it is possible to rain.

2. In case it rains, the game will be canceled. 雨が降った場合、試合は中止します。
= If it rains, the game will be canceled.

1. の in case は if に置き換えることはできない。if に置き換えると意味が変わってしまうから。
”Take an umbrella if it rains.” は、「雨が降れば傘を持っていきなさい」(=雨が降らなければ傘は必要はありません)という意味だが、”Take an umbrella in case it rains.” は、「雨が降る可能性があるので、(雨の降る降らないに係わらず)傘を持っていきなさい」という意味。

2. の in case は if に置き換えることができる。 in case = if。 if に置き換えても意味は変わらない。ただしこの用法は、主に米国式である。

「~する場合があります」は、In some cases, ... ; または There are some cases in which ... と翻訳することもあるが、以下のような例(be subject to)では case を使用しないほうがよい。

定期便(フライト)は霧のために遅れる場合があります。
Flights are subject to delay because of the fog.
仕様は、予告なしに変更される場合があります。
Specifications are subject to change without notice.
価格はすべて予告なしに変更される場合があります。
All prices are subject to change without prior notice.
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# by LanguageSquare | 2017-11-11 10:50 | 英作文 | Comments(0)
条件とは何か
十分条件、必要条件、停止条件、解除条件

松野町夫 (翻訳家)

条件とは何か?意味は理解していても、わかりやすく端的に説明するのはむずかしい。ある国語辞典では、条件とは「ある物事が成り立つ、または起こるもととなる事柄のうち、その直接の原因ではないが、しかしそれを制約するもの」と定義している。しかしこの説明は修飾語が長すぎてわかりにくい。いっそのこと、修飾語をすべてそぎ落として、条件とは「物事を制約するもの」とした方がわかりやすい。

条件は論理学の専門用語でもある。まずは、十分条件と必要条件の違いについておさらいする。

十分条件と必要条件
「PならばQである」という命題が成り立つとき、PをQが成立するための十分条件、また、QをPの必要条件という。ただしこの場合、「PならばQ」は成り立つが、「QならばP」は成り立たない。

「正三角形である」 ならば 「鋭角三角形である」。
「正三角形である」ことは、「鋭角三角形である」ための十分条件(a sufficient condition)で、「鋭角三角形である」ことは、「正三角形である」ための必要条件(a necessary condition)である。

「正三角形は鋭角三角形である」は成立するが、しかし、「鋭角三角形は正三角形である」は成立しない。なぜなら、鋭角三角形には正三角形以外に、辺の長さが異なる三角形も含まれるから。

必要十分条件(a necessary and sufficient condition)
「PならばQである」と「QならばPである」という2つの命題が同時に成り立つとき、PをQの必要十分条件といい、QもPの必要十分条件という。この場合、PとQは同値である。

「正三角形である」 ならば 「三角形の各辺の長さは等しい」。
「三角形の各辺の長さが等しい」 ならば 「正三角形である」。
「正三角形である」と「各辺の長さが等しい」は同値で、いずれも必要十分条件となる。

法律行為にも条件をつけることができる。法律行為に条件をつけることは、契約自由の原則や私的自治の原則からして有効だという。ただし、身分行為(たとえば婚姻)についての条件は無効。

法律には、以下のように停止条件と解除条件がある。

民法第127条
1. 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2. 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。

停止条件(a condition precedent)
法律行為の効力の発生に関する条件を停止条件という。たとえば、「大学に合格したら、腕時計を買ってあげる」。この場合、「大学に合格したら」が停止条件に当たる。「腕時計を買い与える」という約束(法律行為)が、「大学に合格したら」という条件によって停止されている。

解除条件(a condition subsequent)
法律行為の効力の消滅に関する条件を解除条件という。たとえば、「成績が下がれば、奨学金の給付を打ち切る」。この場合、「成績が下がれば」が解除条件に当たる。「奨学金の給付」という約束は、成績が下がった時点で解除される。

英語では、停止条件を a condition precedent、解除条件をa condition subsequent という。precedent は「先行する」、subsequent は「あとに続く」という意味を持ち、いずれも形容詞の叙述用法とみることができる。

a condition precedent (to a legal action) (法律行為に)先行する条件(=先行条件)
a condition subsequent (to a legal action) (法律行為に)後続する条件(=後続条件)

a condition precedent を字義通り直訳すると先行条件、a condition subsequent は「後続条件」となる。先行条件という用語は日本語に定着しているが、「後続条件」は私の造語なので正式用語ではない。いずれにせよ、英語では法律行為に先行するのか、または後続するのかという観点から条件を分別していることがわかる。

英語のconditionには、「状態」と「条件」という大きく2つの意味がある。状態を意味するときは不可算名詞、条件は可算名詞である場合が多い。

condition [kǝndíʃǝn] → 状態、条件

1. the state of something [U, C] 状態
The players are all in good condition. 選手は全員、良い状態です。
He's overweight and out of condition. 彼は太りすぎて、悪い状態です。
The used car is in perfect condition. その中古車は完璧な状態です。
We restore paintings to their original conditions. わが社では油絵を元の状態に修復します。

しかし、状態(state)の意味が拡大し、周囲の状況・事情・環境などを意味するようになると、conditions と複数形で使用する。たとえば、

housing conditions 住宅事情; living conditions 生活環境; working conditions労働環境
business conditions 商況; financial conditions 金融事情
under the present conditions 現状では

2. something that limits something else [C] 条件
They set down a strict condition. 彼らは厳しい条件を提示した。
We propose the following conditions. 私たちは次の条件を提案します。
Nobody would accept such conditions. そんな条件はだれも受け入れまい。
The country rejected the UN conditions. その国は国連の出した条件を拒否した。
I will do it on the condition that I be paid. 報酬を支払ってもらうという条件で引き受けます。
Hard work is a necessary condition for success. 懸命に働くことが成功の必要条件です。

It is a condition of his release that he stays away from his ex-wife. 
もとの妻に近づかないというのが、彼の釈放の条件です。

They agreed to lend us the car on the condition that we returned it on Sunday.
日曜日に返却するという条件をつけて、彼らはその車を私たちに貸すことに同意しました。
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# by LanguageSquare | 2017-10-14 11:44 | 名詞 | Comments(0)
make の慣用句
make believe; make do

松野町夫 (翻訳家)

make は古英語から使用されている基礎語で、日本語の「つくる」(作る、造る)に相当する。

make a box 箱を作る; make a dress ドレスを作る
make ramen ラーメンを作る; make coffee コーヒーを作る
make a poem 詩を作る; make a will 遺書を作る
make a film  映画を作る; make a TV program テレビ番組を作る
make a law 法律を作る; make a contract. 契約書を作る

Wine is made from grapes. ワインはブドウから造られる。
= The grapes are made into wine. ブドウからワインが造られる。

Sake is made from rice. 日本酒は米から造られる。
= Rice is made into sake. 米から日本酒が造られる。

What is butter made from? バターは何から造られるのか。
Milk is made into butter or cheese. 牛乳からバターやチーズが造られる。

バターとチーズの違い:
バターの主成分は脂肪(fat)。チーズの主成分は蛋白質(protein)。

make は「つくる」の意味の最も一般的な、形式ばらない語であり、口語体でも文語体でも頻繁に使用されている。ここでは、make の慣用句の中から、以下のふたつを取り上げる:

make believe 見せかける, ふりをする → make + believe
make do (不十分ながら)間に合わす → make + do

これらはいずれも、ふたつの動詞が結合してひとつの動詞として機能する。こういう例は英語では珍しい。一見すると、複合動詞のようにも見える。しかし英語の複合動詞はたいてい、後ろの動詞が変化する。たとえば、複合動詞のfreeze-dry(凍結乾燥させる)の場合、freeze-dry, freeze-dries; freeze-dried; freeze-drying のように後ろの動詞(dry)が変化する。
これに対して、make believe, make do は前の動詞(make)が変化するので、やはり複合動詞ではなく、make の慣用句と解釈するのが妥当なのかもしれない。

make believe = pretend

Let's make believe we are pirates. 海賊ごっこをしよう。
= Let's pretend we are pirates.
Let's make believe we're ninja. 忍者ごっこをしよう。
= Let's pretend we're ninja.

The boys made believe they were explorers.
少年たちは探検家ごっこをした。
The girl dressed in a sheet and made believe she was a ghost.
その少女はシーツを身にまとって幽霊のまねをした.
He isn't really angry, he's just making believe (that he is).
彼は本当は怒っていない。そのふりをしているだけだ。
She made believe she was a fashion model and swung her hips.
彼女はファッションモデルのふりをして腰を振って歩いた
You can't go on making believe that nothing is wrong.
こちらに非はないというふりをしても、それではやって行けないよ。
They want to make believe that everything is all right.
彼らは、すべて OK と見せかけたいのですよ。

make do = manage

We make do on a low salary. 少ない給料でなんとかやっています。
= We manage on a low salary.
We are making do on a small pension. わずかな年金でどうにか暮らしています。
= We are managing on a small pension.

We have to make do with what's available.
手に入るもので何とかしなければなりません。
We had to make do without a telephone for a while.
しばらくは電話なしで我慢しなければならなかった。
We were in a hurry so we had to make do with a quick snack.
私たちは急いでいたので、軽食で間に合わせなければならなかった。
There was nothing in the fridge, so I had to make do with instant noodles.
冷蔵庫に何もなかったのでインスタントヌードルで間に合わせなければならなかった。
If we don't have carrots for the soup, we'll just have to make do without them.
スープに入れるニンジンがないのなら、ニンジンなしで済ますしかないね。
During the war we had no butter or coffee, so we had to make do without (them).
戦争中バターもコーヒーもなかったので、(それら)なしで済まさなければならなかった。
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# by LanguageSquare | 2017-09-18 10:22 | 動詞 | Comments(0)